二代目白鸚襲名へ 松本幸四郎が「大石最後の一日」を熱演

公開日: 更新日:

 美男で華やか、軽妙で面白く笑わせる――人気役者の大半がそういう人たちだ。しかし尾上松緑はそのどちらでもない。その松緑が国立劇場の「坂崎出羽守」で主役を務め、評判になっている。大正時代の1921年に作家・山本有三が六代目菊五郎のために書いたもので、二代目松緑が継ぎ、今回、孫の四代目が初めて取り組み、36年ぶりの上演となった。

「坂崎出羽守」は、女性に嫌われる「男の悲劇」を描き、救いのないラストの暗い芝居だ。これが松緑に合っている。坂崎出羽守という人物の持つ「闇」が迫ってくるのだ。見ていて楽しいわけではないし、陰々滅々とした気分になる。しかし、引き込まれる。これも芝居の面白さだ。毎月見たいとは思わないが、年に一度はこういうダークな歌舞伎もいい。

 歌舞伎座は顔見世興行で、菊五郎、幸四郎、仁左衛門、吉右衛門、藤十郎と大幹部が揃って、それぞれの得意とする役を演じている。若い世代では染五郎のみが「鯉つかみ」で主演。来年1月に「松本幸四郎」を襲名するので、染五郎としては最後の歌舞伎座となり、他に仁左衛門の「仮名手本忠臣蔵」と父・幸四郎の「大石最後の一日」にも出ている。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」