俳優・篠井英介さんは無趣味人間「一番やりたい芝居をまたやることができる。もう死んでもいい」

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篠井英介さん(俳優・67歳)

 近々、上演される名作「欲望という名の電車」。その主演を務めるのは個性派としてドラマ映画、舞台で活躍する篠井英介さん。根っからの無趣味人間というが、これからやってみたいことは何か、聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 お恥ずかしい話なのですが、僕は本当に無趣味人間なんです。車に乗らない、子供がいない、ゴルフもやらない、お酒も飲まない、スポーツ観戦もしない。趣味ではないけど、やることといえば電子たばこを吸うくらいですね(笑)。休みの日は何をしているのかというとお芝居や映画を見るか、本を読むくらい。読むのも演劇関係、役者さんの自叙伝、歌舞伎の芸談ものとか。そういう本を読んでいる時が一番楽しい。本当に面白みがない人間です。

■ごほうび食は焼き肉とすき焼き

 好きなことを強いてあげれば、食べることですね。それも豪華なものじゃなくていい。芝居の稽古が終わる頃になると、帰りに何を食べようかと考えるのが楽しみです。昨日はハンバーグを食べたから、今日はラーメンにしようかとか。それだけで頭がいっぱいになる時があります。いつも刹那的です。

 食べ物ではお肉が好きですね。僕にとってのごほうび食です。焼き肉を食べることもあるし、すき焼きなら懇意にしている人形町の今半さんです。

 おそばは麻布十番にある永坂更科。そこの白い御膳そばが好きです。江戸前でそばつゆが濃くておいしい。行くと食べるのは天ぷら御膳そばです。

 東京ではお寿司にはあまり行きません。僕は金沢の出身。金沢は回転寿司でもおいしいので有名です。江戸前の寿司は割と手間をかけ、仕事をしたものが多いですが、金沢のお寿司は素材自体がいいので、手をかけなくてもおいしい。それにやっぱりお米がいい。しかもリーズナブル。

■金沢生まれ、5歳から日本舞踊を習い、舞台に立つ快感を覚えた

 ですから、やりたいことを聞かれたらやっぱりお芝居になります。

 これまで見たお芝居で忘れられないのはテネシー・ウィリアムズの杉村春子さんが演じた「欲望という名の電車」、劇団四季がミュージカル劇団になる前に三田和代さん、北大路欣也さんが演じた、ジャン・ジロドゥの「オンディーヌ」、市村正親さんが演じた「エクウス」。中学生だった頃、劇団四季は年に2回、金沢に巡業に来ていたので、親に頼んで見に行きました。

 当時、演劇鑑賞会という団体が地元にあって、そこに入って、文学座、俳優座、劇団民芸、劇団雲や欅のお芝居も見ていました。岸田今日子さんのマクベス夫人、ゴッホを描いた滝沢修さんの「炎の人」や「セールスマンの死」も見ました。東京と違って芝居を見る機会は限られるので、欠かさず見に行きました。

 5歳の時から日本舞踊をやっていたので、舞台に立つ快感を覚えちゃったというか、慣れていたというか。その頃から将来は舞台に立つ人になりたいと思っていました。おかげさまで今、こうして夢をかなえられた人生でよかったと思います。

 そして、やりたいお芝居はやっぱり「欲望という名の電車」。杉村さんがやった主人公ブランチのイメージが頭の中に今も強烈に残っています。

 小学1年生で見たのはミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」。衝撃を受け大感動し、サントラ盤を買ってもらい、繰り返し聞きました。次にハマったのはオードリー・ヘプバーンの「マイ・フェア・レディ」で、好きになって浮かれまくりましたね。

 芸術の世界に陰陽があるとすれば、ミュージカルは陽の世界、「欲望という名の電車」は陰の世界です。人生には明るくて楽しい人生賛歌みたいなミュージカルも必要だし、一方で人間の暗部を描く「欲望──」のような作品も大事です。

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