一番の治療法は「食べないこと」…手相家の瀧川雅也さんクローン病を語る

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瀧川雅也さん(手相家/年齢非公開)=クローン病

 およそ20年前の夜、自宅のトイレで下血がありました。翌朝、近くの病院へ行くと「うちじゃ無理です」と言われ、救急車が呼ばれて大きな病院に運ばれました。レントゲンやCTなどで原因を探したけれどわからず、結局3日間、ICUに入院することになりました。

 どこから出血しているかを突き止めないと手術ができないので内視鏡を入れましたが、出血量が多く見つかりません。医師の方針として輸血はなるべく避けたかったようですが、翌日には輸血をしました。

 そして、「消化管出血シンチグラフィー」という検査が行われました。特殊な放射性物質を注射すると出血箇所に放射線が集まり、出血点がわかるというものです。当時、その検査薬が県内に1本しかなく、注射する大役を任された研修医がとても不安そうだったので、私が「大丈夫ですからやってください」と言葉をかけたことを覚えています。

 その検査で無事に出血点が見つかり、手術の運びとなりました。破れていたのは小腸と大腸のつなぎ目辺り。30センチほど腸を切除する手術を受けました。

 麻酔から目覚めてすぐに、難病の「クローン病」であり、治らないことを告げられました。「基本、必ず再発すると思ってください。再発したら、その都度手術で切除することになるので覚悟してください」と。もちろん、なるべく腸を切らないようにすることが治療の目指すところではあるのですけれど……。

 クローン病は消化管全体に炎症が起こり、小腸や大腸に潰瘍ができる慢性疾患です。潰瘍によって腸が閉塞してしまうのです。この病気の一番の治療法は腸を動かさないこと。つまり「食べないこと」と言われていました。

 そのため病院から出されるのが「エレンタール」という消化がいらない栄養剤です。粉末を水で溶いて飲むのですが、これが恐ろしくまずい。私にとって「この世で一番まずいもの」なので、これを食事代わりに口から飲むことは到底できませんでした。

 そこで選んだのが鼻からの栄養摂取です。経鼻経管栄養というもので、自分で鼻から胃まで70センチぐらいの管を挿入し、電動ポンプでエレンタールを体に入れるのです。夜寝る前にセットして、一晩(約8~9時間)かけて1500キロカロリー(1リットル)を摂取します。それを20年間続けて今に至っています。

 寝る前の3時間は食べない方が質のいい睡眠になるといわれますが、私の場合、夜通し食べていることになるので、朝の体のだるさは日常です。起床して1~2時間は活動できません。目覚めたらまず水を飲み、お腹が痛くならないかしばらく様子をみてから薬を飲みます。いきなり薬を飲んで下痢でもしたら薬も出てしまいますから。

「これを何十年もやり続けている人はあなただけです」と、主治医に言われました。こう見えて、患者としては真面目なんです(笑)。おかげさまで一度も再発していませんし、再入院もありません。だから今後もやり続けると思います。

 朝や昼に普通の食事を取るときもあります。最近の研究では、腸は使っていたほうがいいといわれるように変わったので。でも、必ず下痢になるので栄養は吸収できません。私にとって、普通の食事は疲れるだけなのです。

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