久保田早紀“引退”の契機 久米小百合さんが聖書を開いた訳

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「9歳のとき牧師さんにいただいたんです」と久米小百合さんは言い、愛しそうに、表紙をなでた。「しんやくせいしょ」とひらがなで書かれ、きれいな絵が描かれている。シンガー・ソングライター久保田早紀を“引退”し、キリスト教音楽伝道者となったきっかけでもあるという聖書だ。

■本当に「異邦人」のようになって…

 まだ小学生でしたし、いただいてすぐ読み始めたというわけではないんです。わが家は祖母が仏教徒で父もキリスト教には無関心でしたし、神様のことが書いてある本なのだから捨てるとバチがあたると、本棚の片隅に押し込んでしまったのです。

 そんな私が聖書に目を向けたのは、デビューし、しばらく経ってのこと。「異邦人」が思いがけず「ザ・ベストテン」にランクインし、それまでミラーの扉から、歌手の皆さんが登場されるのをテレビで見ていたのが一転、突然扉の向こう側へ行ってしまい、暴走列車に乗っているような毎日に押しつぶされて、自分が何でそこにいるのかすら分からなくなってしまった。

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