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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

日本はエンタメにもならロクでもないニュースばかりだ

公開日: 更新日:

 次の映画の想でも練ろうかと馴染みの喫茶店に入ったら、奥のテレビからCNNの速報ニュースばかりが目について、なかなか一人にさせてくれなくて困った。年のいったマスターが有頂天になって、「イスラム国のボスのバグダディってのが、米軍の特殊部隊にカチコミかけられて泣きわめきながら自爆したんだってさ」と話しかけてきた。「でも、アイツの舎弟や直参の子分たちがすぐに仕返しするんだろうけどさ」と、まるで東映のヤクザ映画でも見てるように、しっかりニュースを楽しんでいた。その辺の安いスパイ映画より十分にエンターテインメントだわと言う。

 テロがなぜ繰り返されるのかなんかより、いつ次の惨事がどこで起こるか、庶民はそんなことしか興味がないようだ。殺害作戦でバグダディを地下トンネルに追い詰めた軍用犬まで、トランプのおっさんに「とてもいい仕事をしてくれた。でも、軍事機密なので犬の名前は明かせない」とねぎらわれる始末。この大統領モドキはどんな事態でもアメコミのジョークみたいに言い放つやつだ。米国民もつられて笑ったんだろうか。また、マスターが聞いてきた。「監督は、ビンラディンがぶっ殺されるあの映画見たの? ゾクゾクしたなぁ」と。「はい、『ゼロ・ダーク・サーティ』っていう、CIAの女局員が10年かけてパキスタンのアジト見つけて、ヘリ3機で踏み込ませる、いかついやつね」とこっちも返すのがやっと。あんなハリウッドの勧善懲悪の三流の悪夢なんかもういいよと言うのはやめた。

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