著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

無駄な消費税は払わない 増税なんかに馴らされてたまるか

公開日: 更新日:

 消費税を10%に上げられたおかげで、無駄遣いをやめて倹約しようと決めたら、次の日から気分も変わって良かった。こうなりゃ意地でも「消費」への欲望にあらがってやろうと思った。

 服もシャツも靴下も適当にある。もう当分買う必要がないと思ったら、無性に洋服ダンスの中を整理したくなった。わぁ、まだまだ着られるジャケットやセーターがあるわあるわ。えぇ! このスエットもポロシャツも「岸和田少年愚連隊」のロケの時、しっかり着てたやつ! 25年前やぞ、まったく傷んでないぞ。昔の服はほんとに生地も縫製もしっかりしてる。歴戦の友に久しぶりに会えてうれしかった。タグを見たら、もちろん、中国製でなく日本製。何百回洗ったことか。ボタンは取れてないし、少しも縮んでない。よっし明日からまた着るぞ。

 10%のおかげで心がうきうきした。早速、よく使う手前のハンガーにかけてやった。今の大量生産ブランドの2000円の安物とは品質が違う。生き残り方がまるで違う仕立てには感服するしかない。平成に入り、日本製のカジュアル服が消えていった年月と、ロストジェネレーションが生きあぐねてきた年月が見事に重なってるようだ。ロスジェネだけでなく、生産されてきたすべての物が社会から放ったらかしにされて見捨てられてきたのかな。今も形が崩れないでまだまだ丈夫な我がポロシャツ君を見てそう思った。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する