<8>慰問は上から目線 芸で激励するからと「芸激隊」を結成

公開日: 更新日:

 1990年代になると、才賀たちの慰問活動に賛同して参加する芸人たちが増えてきた。才賀と同じ海上自衛隊出身で津軽三味線の太田家元九郎、三遊亭歌武蔵の3人は、常々慰問という言葉に違和感を抱いていた。

「慰問というのはどうも上から目線のような感じがあって、我らのチームには合わないんじゃないかと。他に言い方がないもんかと話し合いました。あたしらは芸で激励する活動をしているのだから、『芸激隊』というのはどうかと提案したら賛成してくれて、1993年に発足。あたしが隊長で、元九郎が副隊長、歌武蔵が幕僚長です。先年、元九郎が亡くなってからは歌武蔵が副隊長に昇格しました」

 大勢の芸人が芸激隊に加わった。全員がノーギャラを承知で出演するが、問題は交通費である。メンバーが増えれば交通費まで才賀の自腹というわけにはいかない。

「交通費を浮かせるために、自衛隊を激励することにしました。刑務所と少年院の近くにある基地を訪ねることにすれば、移動に自衛隊機が使える。これはOBの特権ですな。基地の慰問を終えると、刑務所から車で迎えに来てくれる。これが護送車でして、20人ほど乗れるマイクロバスです。芸人たちが護送車の中で弁当を食べたり、たばこを吸ってると、並走するバスの乗客が不思議そうな顔で見るんです(笑い)。囚人がそんなことしていいのと訝るんでしょう。面白がってたら、運転してる所員に『カーテンを閉めてください』って言われました」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  2. 2

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 3

    NHK「昭和16年夏の敗戦」は見ごたえあり 今年は戦争特別番組が盛りだくさん

  4. 4

    市船橋(千葉)海上監督に聞く「高校完全無償化で公立校の受難はますます加速しませんか?」

  5. 5

    綾瀬はるか3年ぶり主演ドラマ「ひとりでしにたい」“不発”で迎えた曲がり角…女優として今後どうする?

  1. 6

    プロ志望の健大高崎・佐藤龍月が左肘手術経てカムバック「下位指名でものし上がる覚悟」

  2. 7

    中山美穂「香典トラブル」で図らずも露呈した「妹・忍」をめぐる“芸能界のドンの圧力”

  3. 8

    石破首相が「企業・団体献金」見直しで豹変したウラ…独断で立憲との協議に自民党内から反発

  4. 9

    長渕剛がイベント会社に破産申し立て…相次ぐ不運とトラブル相手の元女優アカウント削除で心配な近況

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希“ゴリ押し”ローテ復帰が生む火種…弾き出される投手は堪ったもんじゃない