「POSSE リニューアル号 特集:選挙以外で社会を変える/ネット以外で社会を変える」NPO法人POSSE/堀之内出版(選者:稲垣えみ子)
リアルな人間関係の連帯こそが成果を生む
「POSSE リニューアル号 特集:選挙以外で社会を変える/ネット以外で社会を変える」NPO法人POSSE/堀之内出版
「選挙って何」ってことがわからなくなってきたのは50歳で会社を辞めてから。国や地域が向かう方向性を選ぶ機会ではあるんでしょうが、会社という居場所をなくし慌てて人生初の「ご近所付き合い」を始めた私は、政治家がいなきゃ地域がよくならないわけじゃ全然ないじゃん! ってことを知ったのだ。何しろここ(近所)が私の生きる場所。となれば近所の店に通い、祭りに参加し、道を歩き、公園に行き、そこで出会った縁ある人とやあやあと声を掛け合いながら暮らした。それだけで我が人生の質は劇的に上昇。自分も地域も「良くなった」のだ。庶民とは決して無力ではなく、助け合う気持ちさえあれば、生活者であるだけで実は小さな「活動家」なのである。
そんなプチ活動家の目から見ると、自分の当選があなたを救う的なことを言う候補者が謎。その上から目線は一体? ましてや昨今はやりの、借金まみれの国庫からまき餌のごとく金を配る約束をしまくる候補者の群れにはマジでおいおいと思う。なのにそれに釣られまくる有権者。いやそもそも何年かに1回投票するだけで幸せにして(ハート)って丸投げすぎん? とプチ活動家は思う。だが世間はそうでなくむしろ選挙のたびに強めの被害者意識や陰謀論を主張しまくるSNSの投稿がすごいことになってきて、しかもそれぞれの主張が全然噛み合ってない。選挙は結果的に分断を深める道具と化している。
とモヤモヤしまくっていたので、この特集のタイトルが超刺さったし、同じこと考えてる人がいる! とうれしかった。ちなみにこの雑誌は労働や貧困問題に取り組むNPO法人が発行していて、その法人の若手メンバー座談会がとりわけ良かった。NY市長選で急進左派のマムダニが当選したのはボランティアが一軒一軒有権者のドアをノックし説得を続けた結果であること。実際、現場から見える切実な要求をリアルに人を巻き込みながら解決していく過程こそが小さくとも成果を生むこと。一方で、時間のかかる運動を放棄してSNSに頼るようになった日本の左派の未来のなさ──その冷静な分析は、とりわけ今や風前のともしびとなった左派の面々は絶対に必読である。
「現実の人間関係の中で連帯を構築しながら、地道に何かを変えていくことに喜びや可能性を見出せるような感性が日本の中でも広がっていく可能性は十分ある」。そうだよね! 私も諦めずに頑張るよ。 ★★★



















