田崎健太氏寄稿 浅香光代さんは最後まで華のある主演女優

公開日: 更新日:

「(股間の)前だけ張って行くの。それでちらっとケツを見せるつもりだった。でも私が失敗して、着物を踏んづけちゃって素っ裸になったこともある」

 色気なしでも客に満足してもらうには、芸を身につけなければならない。そう考えた浅香さんは、朝六時に起きて三味線の稽古に通ったという。そして劇団の役者たちが目を覚ます前に戻り、布団の中に入った。努力している姿、弱みを見せたくなかったのだ。そうして一座、女剣劇を守った。

■浅草演芸の世界と波乱に満ちた私生活

 ぼくは写真家の関根虎洸さんとの短編集「全身芸人」を作るために、彼女のいる浅草に通った。かつての演芸の世界、波乱に満ちた私生活など話は尽きなかった。彼女は十九歳のときにある政治家の愛人となり、二人の子どもを出産。その後、老舗の社長、別の政治家、脱税王と呼ばれた実業家とも交際した。四十一歳のときにも最初の結婚をした。ところが彼が亡くなった後、愛人が現れたという。そうした浅香さんを受け入れ、支えたのがミュージシャン出身の世志さんだった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元小結・臥牙丸さんは5年前に引退しすっかりスリムに…故国ジョージアにタイヤを輸出する事業を始めていた

  2. 2

    ドジャース大谷翔平に「不正賭博騒動」飛び火の懸念…イッペイ事件から1年、米球界に再び衝撃走る

  3. 3

    遠野なぎこさんは広末涼子より“取り扱い注意”な女優だった…事務所もお手上げだった

  4. 4

    ヘイトスピーチの見本市と化した参院選の異様…横行する排外主義にアムネスティが警鐘

  5. 5

    ASKAや高樹沙耶が参政党を大絶賛の一方で、坂本美雨やコムアイは懸念表明…ネットは大論争に

  1. 6

    巨人・田中将大「巨大不良債権化」という現実…阿部監督の“ちぐはぐ指令”に二軍首脳陣から大ヒンシュク

  2. 7

    世良公則、ラサール石井…知名度だけでは難しいタレント候補の現実

  3. 8

    自民旧安倍派「歩くヘイト」杉田水脈氏は参院選落選危機…なりふり構わぬ超ドブ板選挙を展開中

  4. 9

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  5. 10

    フジの「ドン」日枝久氏が復権へ着々の仰天情報! お台場に今も部屋を持ち、車も秘書もいて…