田崎健太氏寄稿 浅香光代さんは最後まで華のある主演女優

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「(股間の)前だけ張って行くの。それでちらっとケツを見せるつもりだった。でも私が失敗して、着物を踏んづけちゃって素っ裸になったこともある」

 色気なしでも客に満足してもらうには、芸を身につけなければならない。そう考えた浅香さんは、朝六時に起きて三味線の稽古に通ったという。そして劇団の役者たちが目を覚ます前に戻り、布団の中に入った。努力している姿、弱みを見せたくなかったのだ。そうして一座、女剣劇を守った。

■浅草演芸の世界と波乱に満ちた私生活

 ぼくは写真家の関根虎洸さんとの短編集「全身芸人」を作るために、彼女のいる浅草に通った。かつての演芸の世界、波乱に満ちた私生活など話は尽きなかった。彼女は十九歳のときにある政治家の愛人となり、二人の子どもを出産。その後、老舗の社長、別の政治家、脱税王と呼ばれた実業家とも交際した。四十一歳のときにも最初の結婚をした。ところが彼が亡くなった後、愛人が現れたという。そうした浅香さんを受け入れ、支えたのがミュージシャン出身の世志さんだった。

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