田崎健太氏寄稿 浅香光代さんは最後まで華のある主演女優

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 役者には主役を張れる華を持っている人とそうでない人がいる、と言い放ったのは、浅香光代さんの夫である世志凡太さんだった。すると、横に座っていた浅香さんは「そう、私は華があった。昔から主役だったんだから」とおどけたふうに首をすくめた。

「九つのとき(俳優、浅香新八郎の)内弟子に入ったんです。私が出ていくとね、お客が先生の子どもさんですかって言うの。なんとなく華があったんでしょうね。そんなもんです」

 十四歳のとき、浅香新八郎が急逝。“娘”が跡を継ぐという名目で、彼女が座長に祭り上げられた。芝居が多少未熟でも、見栄えのいい女性で客を集めようという、年長の“脇役”たちの魂胆だった。ただし、周囲のやっかみを受け、彼女は自らの一座を立ち上げることになった。

 彼女の芝居は「女剣劇」に分類される。若い女性が主役を演じる女剣劇には性的な要素が求められた時代があった。立ち回りで崩れた襟元や、乱れた裾から太ももがちらつくのを観客は楽しみにしていたのだ。

 彼女は集客のため、見えを切ったとき着物がはらりと落ちる工夫をしたこともあった。

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