奥付の前に書かれた2行の文章に涙腺決壊「永遠の記憶」東野圭吾著
「永遠の記憶」東野圭吾著
東野圭吾さんが亡くなった。さすがにショックが大きい。自分は芸人、書店員、推理小説家として活動してるが、中でも一番読書人口が少ない芸人界隈と話していても「東野圭吾の小説だけは読んでる」と言ってきた芸人にたくさん出会った。自分の持ちネタで本のタイトルでボケていく漫才があるのだが、そのネタの中で、作家名まで出してお笑いのお客さんに伝わるのは東野さんだけだった。大学生の本のプレゼン大会のMCをやったとき、出場してた学生に東野圭吾君がいた。本名である。子どもの名前にしたいぐらいの人気。文字通り、国民的作家で唯一無二の存在だったと思う。
当然私自身も、さまざまな作品を読んでいる。中でも好きなのが物理学者の湯川学が難事件に挑む「ガリレオ」シリーズだ。福山雅治さん主演の実写化でも知られている。私自身、高校が理系だったので、シリーズ1作目「探偵ガリレオ」を読んだ時はこんなに理系知識満載で、しかもすごく読みやすくて超面白いミステリーがあるのか! と大興奮したものである。
本作は、東野さんが亡くなる直前で書き上げた、ガリレオシリーズの最終巻だ。
話は湯川と共に事件を解決してきた女刑事、内海薫の視点から始まる。スーパーで買い物をしていた彼女は突如、男に刃物で刺される。男は刺した直後、屋上まで駆け上がり飛び降りるも奇跡的に軽傷で済み、逮捕される。なぜ男は内海を刺したのか。そしてこの事件をきっかけに湯川、そして湯川の最初の相棒でもある刑事、草薙は、長年隠されていたある謎の答えにたどり着くことになる。
キャリア40年を超え、それなのに最後までグイグイ読ませる東野さんのリーダビリティーの凄さに改めて感動しながら読み進め、読み終わると、この小説は我々ファンのために渾身で書かれたものだったんだとわかった。ラストの展開もグッとくるが、本文が終わった後もぜひ、ページをめくってほしい。奥付の前に書かれた2行の文章に私の涙腺は決壊した。
この小説は国民的作家だからこそ作れたミステリーだ。またミステリーというジャンルを好きになった。そんな一冊だったことがうれしくて、そして東野さんがこの世にいないことが今はとても寂しい。
(文藝春秋 2310円)



















