文庫で読む戦争を考える本特集(1)英雄論でも犬死に論でもない特攻のリアル「『特攻』と日本人」保阪正康著

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 太平洋戦争終結から81年を迎えた今年の夏。戦争は過去のものになるどころか、歴史が再び繰り返されても不思議ではない不穏な空気が世の中に満ちている。今回は再び愚かな道を進まないために読んでおきたい戦争の実態に迫る文庫本4冊を紹介する。

  ◇  ◇  ◇

「『特攻』と日本人」保阪正康著

 陸海軍で約4000人が命を落とした昭和史最大の悲劇「特攻」。この理不尽で無謀な作戦はなぜ生まれ、私たちはここから何を知るべきなのか。本書は、特攻隊員の遺稿や家族の証言、歴史的な背景、指揮者たちの動向などを追いながら、英雄論でも犬死に論でもなく、日本人が生み出した特攻のありのままの姿を追う。

 目的も終着点もあいまいなまま開戦したこの戦争は、最終的には日本人が一丸となって「兵器」となることを要求した。途中でだまされたと気づく学徒や特攻を止めようとした者、「俺も後で行く」と命令しつつも保身に終始した指導者などが入り乱れつつ、最後には軍事ではなく精神論的な美学の領域に入ってしまったのではないかと著者は言う。なお文庫化にあたって「特攻作戦と学徒出陣」が加筆されている。

 (朝日新聞出版 1100円)

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