健サン、よくぞアタシみたいな馬の骨を拾って下さいました

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 狭い狭い大阪の実家から、イヤ実家といったって、間借りの部屋で親子五人、もう出たくて出たくてウズウズしていて、寄らば東京だってんでノコノコ出て来て、不安百%抱えて、そんなアタシが当代きっての大スター、高倉健サンと出会えるなんざ、コレはもう奇跡というより、何かこうもっと凄い奇跡、何を書いてんだアタシャ、あゝ文の才が欲しい! 何たってアルバイト先のスーパーで、休憩時間も寄った喫茶店に、いらした訳ですヨ健サンが。へへ参りましたネ格好良くて。小さな喫茶店ですから、すぐ近くにいらっしゃる。でアタクシめ一杯のコーヒーを、チビチビやりながら、何ンとか健サンこっち向いてくれないかなあなんて、馬鹿な事思いながら、味の判らぬコーヒーを舐めてましたよ。

 この頃はある劇団の月謝が払えず止めていて、世の中何をするにも金だという事が骨身に染みていて、まあオレという奴は、このままバイトから社員にでもなって、終わるんだろうな位に思ってましたな。

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