著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

山口洋子は「波瀾万丈の3冠王」 権藤博は弔辞でそう述べた

公開日: 更新日:

 山口洋子と中日ドラゴンズのエース、権藤博の長い春は、交際4年にして終幕を迎えつつあった。当時のことを山口洋子は、いくつかの媒体で振り返っている。作詞家としての活動が軌道に乗り始めた1970年には「中日球団の社長の横槍があった」(「婦人倶楽部」1970年2月号)と述べ、2度目の直木賞候補となった1984年には「相手の親族が賛成してくれなくて」(「週刊平凡」1984年8月24日号)と漏らしている。つまり「自分が夜の女だから、球団からも親族からも忌避された」という理屈である。

 しかし、1997年に上梓した自伝では、それとはまったく異なる事情を書き残している。発端は花嫁修業のため銀座から離れていた洋子の元に「姫」の元ホステスが訪れたことにあった。用件は些細な恋愛相談だったというが、彼女が身に着けていた金のネックレスが洋子の心を乱した。自伝からひく。

《少し太めのチェーンの先についている同じ18金のメタル、私が愛しい男のために自分で買ったものを、どう見間違う筈がある。(中略)そういうと、このところ見ていない。どうしたのと何かの拍子に訊ねたら、鎖が切れたんだとかいっていた。切れたのは鎖じゃなくて、私との絆なのだ》(「ザ・ラスト・ワルツ『姫』という酒場」文春文庫)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁