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吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<131>田辺市が遺産の受け入れを表明 この横暴を阻止できるのは遺族だけ

公開日: 更新日:

「田辺市は遺産額を約14億円とも言っていますが」

「はあ?」

 田辺市の担当官が遺産額についてそのように言ったと聞いて私は意味が分からなかった。この年の夏前にはドン・ファンの顧問会計士が、裁判所が任命していた相続財産管理人に遺産リストを提出していて、その額は約26億円となっていた。それでもニセ遺言の証拠を握るために密かに取材を進めていた私は少ないと思ったが、田辺市は14億円と発表したのだからワケが分からない。

「田辺市は14億円の内訳をペーパーで配ったんですか?」

「いや、それはありません」

「それじゃあ、向こうの言い分だけじゃないですか」

 私はこの金額もウソなのだろうとピンときたが、内訳が分からないとウソだと言い張ることができない。それよりもっと大事なのは、田辺市が粛々と遺産を処分することを止めなければならないと思った。

 この横暴を阻止する権利があるのは遺族だけであるとは何度も記している。私が声高に世間に訴えたとしても法律的には何の権利もない。私は遺言無効の訴えを起こしてもらうために遺族に会いに田辺市に通った。唯一の救いは、訴えるのは遺族1人でもいいということだった。勝訴すれば遺族全員が遺産を分け合う規定になっているので、裁判費用を圧縮することができるが、このままだとニセの遺言書が効力を有することになる。

 なんとかしなければと、私は焦っていた。(つづく)

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