著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

ロシアの18歳フィギュア選手にスポーツが政治を超える瞬間を見た

公開日: 更新日:

 ミラノ・コルティナ冬季五輪は、最古で現役の競技場アレーナ・ディ・ヴェローナで閉会した。そのメッセージは「選手が競い合い、高め合い、抱き合う姿が世界に夢を与え人々をつなぐ」だった。

 オリンピックは19世紀末の帝国主義がはびこる情勢に誕生した。軍備増強と列強抗争の激化する中で古代オリンピア祭を復活させ、国際平和をスポーツにより実現しようという試みだった。「武器をおいてオリンピアに集まれ!」という休戦思想の復古であるが、その後、世界は2つの大戦を起こし、夏冬5大会の五輪が中止を余儀なくされた。

 しかしオリンピックは諦めず、常に政治と向き合い生き残ろうとしてきた。五輪開催反対だったヒトラーを国威発揚の機会とだまし1936年ベルリンを開催し、米国黒人選手ジェシー・オーエンスの活躍でアーリア民族の優位性を否定した。アフガニスタンのソ連侵攻を非難しカーターが呼びかけた80年モスクワのボイコットに英国、仏国、西国など西側十数カ国が参加、政府の無力をアピールした。冷戦が終結し、世界が自由と民主で浮足だった直後、民族紛争が起き派遣母体を失った選手を独立五輪選手団として92年バルセロナに参加させた。難民問題が起きると2016年リオでは難民選手団を育成し五輪参加の道を開いた。

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