著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

シルクが“美容番長”になったきっかけはチュートリアル徳井の一言だった

公開日: 更新日:

 “よしもとの美容番長”ことシルク。付き合いの長い私は“シルやん”と呼んでいます。小学校から大学まで同級生だったミヤコさんと「非常階段」というコンビでデビューしましたが、相方の突然の死で引きこもりになり、顔面神経まひも発症してしまうほど心身ともにダメージを負ったのでした。

 そこで転地療法でニューヨークの友人宅に11カ月“居候”をすることに。たまたま「顔の体操」の無料レッスンのチラシをもらい、「タダなら行ってみよか」と出かけたところ、薬でしか止められなかった顔面のけいれんが止まり、みるみるうちに回復。以来、体と健康、美容に興味を持つように。帰国してからは、仕事に復帰すると共に独学で解剖学を学び、7年かけてピラティスのインストラクターの資格を取得。セルフケアのために自宅を改造してジムまでつくってしまったのでした。

チュートリアル徳井君の一言

 そんなシルやんにテレビの「自宅訪問」の取材があり、リポーターでやってきたのがチュートリアルの徳井君。ジム機材や健康について細かく話すシルやんに、徳井君が「姉さん、自分だけやなしに美容と健康の情報をみんなに言ってあげた方がええんちゃいますのん?」と言ったのです。この一言が“美容番長”のきっかけになりました。

 番組で紹介されて以降「吉本に変なことしてるタレントがおる」と話題になり、うめだ花月シアターで「べっぴん塾」を開催することに。当初は梅田界隈の会社帰りのOLさんたちが20~30人ぐらいだったのが、回を重ねるごとに口コミで増えていき、気づけば100人を超える大盛況。仕事とは関係なく、自分のためにだけ始めたつもりが、本だけでシリーズ累計40万部を超えるベストセラー。「べっぴん塾」はいつの間にかシルやんのメインの仕事になったのでした。

 余談ですが、デビュー5、6年目の若手時代、若手のシルやんたち非常階段はNGK(なんばグランド花月)の出番が出演者の仕事の都合で変則的になり、トミーズ、大助・花子、非常階段、阪神巨人という人気のコンビに挟まれることになりました。

 当時、人気絶頂のトミーズ、大助・花子が大爆笑を取ったあとの舞台へ「あんたら誰やのん?」という新人クラスの非常階段が出てくるのですから、客席の空気は自然と重くなり、笑いが途絶えだしました。

 その時、次の出番で袖にスタンバイしていた巨人さんが「阪神行こか?」「行きまひょか」と言葉を交わすと、私の目の前で衣装を脱ぎ捨てパンツ一丁の姿で、「ガラガラの付いたイス持ってきて」と頼み、阪神さんがイスに座って、足を広げその椅子を巨人さんが押して下手から上手へ「お助け隊参上~!」と叫びながらシルやんたちコンビの後ろを横切ったのです。客席は突然の出来事に一瞬の静寂の後に大爆笑。以降、客席は非常階段が何を言っても笑う空気に変わりました。この時のこと「先輩ってありがたいな~」としみじみ。みんなに愛されていた非常階段ならではの一幕でした。

 これからの夢を聞くと「台湾で本格的に漢方の勉強をしたいんですよ。けど、そんな時間残されてるかな? ハハハハッ」と豪快に笑ったシルやん。まだまだ意気軒高の“美容番長”です。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 2

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  3. 3

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 4

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  5. 5

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  1. 6

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  2. 7

    「べらぼう」大河歴代ワースト2位ほぼ確定も…蔦重演じ切った横浜流星には“その後”というジンクスあり

  3. 8

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  3. 3

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  4. 4

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  5. 5

    やす子の毒舌芸またもや炎上のナゼ…「だからデビューできない」執拗な“イジり”に猪狩蒼弥のファン激怒

  1. 6

    羽鳥慎一アナが「好きな男性アナランキング2025」首位陥落で3位に…1強時代からピークアウトの業界評

  2. 7

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    渡部建「多目的トイレ不倫」謝罪会見から5年でも続く「許してもらえないキャラ」…脱皮のタイミングは佐々木希が握る

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」