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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

いろいろやってパンサー向井は「どうしても人間が出る」好きなラジオに行き着いた

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 基本的には東京まで届かないという精神的な気楽さがいい方向に作用し、仕事で感じた不満や愚痴を吐露した。それがパブリックイメージとのギャップで好評を得て、18年から同局で「#むかいの喋り方」としてレギュラー化された。そこからラジオでの仕事が増えていき、ついに22年にはTBSラジオの朝の帯番組の枠を「ラジオの帝王」こと伊集院光から引き継ぎ「#ふらっと」が始まった。

 実は「#ふらっと」のオファーがあった際、偉大すぎる枠だったため、断る方向で話を進めていた。しかし「1週間考えてください」「3人だけ相談していい」と言われ、又吉、オードリー若林、TBSラジオの社員に相談。受ける方向に変わっていき、最終的には漫画「キングダム」を読んだことが決め手に。王騎将軍の矛をもらうシーンに自分を重ね、もらうかどうか選択できる機会をもらえること自体が凄いと考え直したという(テレビ東京系「ゴッドタン」22年7月30日)。

 芸人になって17年。「いろいろやってきて結局好きなラジオに行き着いた」(放送批評懇談会「GALAC」23年2月号)と語る向井は「ラジオはどうしても人間が出てしまう」(同前)メディアとも言う。だからこそ「逆ニーチェ」向井が、悩みながら思考を巡らせるさまが、極上のドキュメンタリーになっているのだ。

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