「史上最強にわかりやすくて面白い ぶっ続け日本史講義10時間」伊藤賀一著/フォレスト出版(選者:中川淳一郎)
例え話が絶妙で現代社会への警句にも
「史上最強にわかりやすくて面白い ぶっ続け日本史講義10時間」伊藤賀一著
「日本一生徒数の多い社会科講師」である著者の5回分の講義をまとめた一冊。現代社会がいかにして動いているかを理解するには歴史を学ぶことが重要である、との考えをもとに、「原始・古代・中世」「近世」「近代①」「近代②」「現代」に分けて歴史を学んでいく。
とにかく、例え話が上手で、すらすらと歴史が入ってくる。本書を読んだきっかけは、陳腐な表現である「歴史から学ぶ」といったフレーズを改めて考えたからだ。それにあたっての「入門書は何かな~」と探した時にたまたま見つかっただけである。この例え話の中では、古代の東アジアの関係性を記したものに合点がいく。これは現代の東アジアの勢力図と各国の関係性ともつながってくる。
〈中国がジャイアンでしょ、朝鮮がスネ夫でしょ、日本はのび太なんです。ただ、いちおう独立してはいるわけです。ジャイアンとのび太って、別に親分子分じゃないですよね。基本的に仲良くないです。でも仲いいときもありますよね。映画のときだけ仲いいじゃないですか。わかんないけど、そういった感じです〉
そのうえで、スネ夫自身はジャイアンの下であることは認めており、のび太に対しては「のび太のくせに」と思っていると続ける。
さらに、日本は島国だから城壁がなくのん気である、といった話にもつなげ、これが現代の我々が住む社会との関連性について言及するのである。
日本史の通常の教科書であれば、〇〇年に××の乱が起きた、などにページを割くが、大事なのは現代の話である。だからこそ、1回2時間・全5回の講義の最後で「現代」についての時間を割く。過去の歴史の知識を知るのは重要だが、現在の生活とつながっているのはやはりここ何十年かの話だからだ。著者と私に共通する団塊ジュニア世代の記述はまさに納得だ。
〈いまの若い人たちに「え、先生バブルでウハウハだったんでしょ」なんて言われることがあるんですけど、めっちゃ腹が立ちます。バブル世代と間違われることがいちばんイヤです。バブルが崩壊してから初めて東京に出てきたわけで、72年生まれの僕らは、ギリギリなんのおいしい経験もできてない世代なんですよ!〉
こうした背景を述べつつも、高齢者が経済セミナーに参加して「和牛商法」などに引っかかるさまに疑問を抱き、むしろ歴史を学ぶべきだと言う。オイルショックや円安がもたらした日本への悪影響についても言及しており、まさに現代への警句ともなっている。
★★半



















