暑さを忘れて謎解きに没頭!ミステリー文庫特集(4)不穏なお客さまの行動に恐怖が湧き上がる 「怖い客」矢樹純著

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 主人公とともに事件に巻き込まれながら、謎解きに浸るのがミステリー小説の醍醐味。今回は、2026年に読みたい傑作短編集や、異色の海外ミステリーなど4冊をピックアップした。犯人を解明するスッキリ感や、トリックに気づくゾクゾク体験で、夏の暑さを忘れよう。

  ◇  ◇  ◇

「怖い客」矢樹純著

 洋菓子店「リュエル」には、気味の悪い女性の常連客がいる。5月というのに足首まである厚いコートを羽織り、つばの広い帽子とマスクで顔は見えない。そして毎回、30分もショーケースに張りついて奥の製造室を凝視し、ケーキを1点だけ買っていくのだ。

 ある日、彼女がケーキに髪の毛が入っていたと怒鳴り込んでくる。そして、製造スタッフのひとりを指名し、謝罪させろと迫る。さらに、店舗のゴミが盗まれる事態も発生し……。(「一点さん」)

 保険会社のコールセンターに、何度もクレームを入れてくる男性客。オペレーターが次に言おうとした言葉を先回りして言い、業界にも詳しい様子だ。そして時を同じくして、ひとりのオペレーターの自宅に、郵便物のトラブルが頻発するようになる。(「ノゾキさん」)

 予測不能な行動がじっとり張りつくような恐怖感を与える、“カスハラ”を題材とした短編ミステリー集。 (PHP研究所 979円)

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