著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

萩本欽一〈33〉“悪役女優”真屋順子さんを『欽どこ』の母親役に指名した意外な理由

公開日: 更新日:

 作家増田俊也氏による連載、各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。待望の第2弾は、「視聴率100%男」として昭和のテレビ界を席巻したコメディアンの萩本欽一氏です。

  ◇  ◇  ◇

増田「スポンサーが先にいて、テレビ番組が成り立つということをわかったのが、『欽どこ』のときだったんですね」

萩本「うん。でもね、私が理想とするテレビってお米と一緒。前にも言ったけど、お米っていきなり穂をつけるんじゃないんですよね。種から稲を育てて、田植えをして、実がなる。私が理想とするテレビも同じ。最初は番組を育てるんですよ。それから数字がいって実がなって、そこにスポンサーがついてお金が生まれる。それなのに現実のテレビは逆だったの。スポンサーがいて先に生まなきゃいけない。生まれる前、育つ前にスポンサーがつく。それって変じゃないかと」

増田「それはもうそのときから考えておられた」

萩本「はい、それに、先にスポンサーがつくから、有名な女優さんとか、大きな名前の人を番組に入れなきゃいけなくなるんだけど、有名人がいると俺、緊張しちゃうの。それで俺は『お好きにおやりください』って言っちゃうからダメなんですよ。でも、素人を入れとくと、そういうことがないんですよ。欽どこも、決まったのが真屋順子さんですから」

※真屋順子(まやじゅんこ):女優。1942年釜山生まれ。3歳時に終戦で大分県日田市に引き揚げ。日田高校を中退後、松竹歌劇団に入団。その後、俳優座養成所を卒業して劇団雲の研究生に。1976年、『欽ちゃんのどこまでやるの!』の母親役で一気にブレークした。2000年に舞台上で脳出血で倒れたが懸命のリハビリで復帰。2017年没。

増田「それを決めたのは」

萩本「私です。母親役を決めるにあたって、『女優さんの事務所の写真だけ見たい』って言ったら、アルバムみたいな分厚いものがきた」

増田「はい」

萩本「最初のページを開けるとそこの事務所の主役級が1ページに1人ずつ紹介してある。で、そこをめくっていくと次は1ページに2人ずつ、次は1ページに4人ずつになっていきますね」

増田「だんだん有名じゃない人になっていく」

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