計9時間!菊之助の新作歌舞伎「ファイナルファンタジーX」はあまりに長い

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完璧な演技者・丑之助

 主人公側は7人のチームだが(黒澤明の『七人の侍』以来の日本の伝統である)、そのなかでは、中村獅童(50)がいちばん目立つ。彌十郎、家六、錦之助のベテラン陣が脇を支え、歌舞伎らしさも醸し出す。

 特筆すべきは、菊之助の子の丑之助(9)で、「祈り子」というピュアな役を透明感をもって演じている。子役は出るだけでかわいいものだが、丑之助はその域を超えて、完璧な演技者となっている。

 平日に行ったせいもあるが、客の入りはいいとは言えなかった。最終的な収支がどうなるのかは分からないが、興行としては成功とは言えないのではないか。グッズ売り場も、そんなに賑わっていなかった。

 なお、IHIステージアラウンド東京はこの公演を最後に閉館する(4月12日まで)。行くなら、いまのうちだ。

(作家・中川右介)

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