著者のコラム一覧
南渕明宏昭和医科大教授

心臓血管外科専門医、医学博士。

週に1度の「回診」で急性大動脈解離の患者さんに話したこと

公開日: 更新日:

 週に1度、大人数で回診します。

 ある日、集団はICUで療養中の50代女性の患者さんの病室にさしかかりました。急性大動脈解離で数日前から入院中の患者さんです。急性大動脈解離とは、突然に何の前触れもなく大動脈が破裂する恐ろしい病気です。

 運のいい、多くの患者さんでは破裂した箇所のいちばん外側のうす皮1枚で大出血が抑えられています。その状態で2週間持ちこたえれば、解離した部分で血液がしっかりと固まり、完全治癒することがあります。

「私はどうなるんでしょうか? 血栓は固まってくれるんでしょうか? なんでこんなことになったのでしょうか?」

 科学を高校で教えていた患者さんは合理的に状況を理解しようとされています。しかし不安でいっぱいなのでしょう。

 入院している患者は誰もが病室の天井を眺めながら、これから自分がどうなるのか心配で心配でたまらない時間を過ごしています。

「うーん、この病気は突然に人の命を奪う恐ろしい病気です。しかし、あなたは助かりました。今は回復の途中です。これからどうなるかではなく、なぜ自分が命を永らえたのか、どうしてこの瞬間を生きているのか?その答えを探してみたらどうですか?」

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