著者のコラム一覧
若月澪子ルポライター

1975年生まれ。ジャーナスリト。大学卒業後、NHK高知放送局・NHK首都圏放送センターで有期雇用のキャスター、ディレクターとしてローカル放送の番組制作に携わる。結婚退職後に自殺予防団体の電話相談ボランティアを経験。育児のかたわらウェブライターとして借金苦や終活に関する取材・執筆を行う。生涯非正規労働者。ギグワーカーとしていろんな仕事を体験中。

年金生活者を悩ませる墓問題 維持費も「墓じまい」の費用も払えない人はどうすればいいのか?

公開日: 更新日:

【第8回・前編】墓の維持費が払えないIさんの場合

「人生100年時代のロールモデルがいない」――退職後のサラリーマンが迷走している。キャリア、居場所はリセットされ、年金不安時代は資産形成も「自己責任」。「人手不足」の号令の下、今日もシニアは働き続ける。『副業おじさん』『過労シニア』のルポライター・若月澪子が、奮闘し続ける令和シニアの素顔を追う。

  ◇  ◇  ◇

 暑い夏だ。暑くて溶けそうな夏だ。こんな真夏でも、肉体労働をしなければならないシニアがいる。低年金のシニアである。

「暑いですよ。大変ですよ。でも散々きついことをやってきたし、これくらいは平気ですよ」

 こう話すのは、40代から派遣労働者として働いてきた、都内在住のIさん(66)。Iさんは現在、派遣会社を通じてパソコンや周辺機器の修理を扱う倉庫で、機械やコードのクリーニング作業をしている。

 出勤は週5日のフルタイム労働。時給は最低賃金。月15万円程度の収入と、年金月9万円程度を受給しながら一人で生活している。しかしIさんには消費者金融からの借り入れもあり、いつもお金に困っている。

 そんなフトコロの寒いIさんの台所事情をさらに脅かす問題が、今持ち上がっていた。Iさんの両親が眠る墓の問題である。

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