読書の秋に肩慣らし 文庫で読むアンソロジー本特集(2)過去の殺人現場に戻れると噂のマンションで再び事件が「裏切りの捜査線」米澤穂信ほか著

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 やはり、今年の夏も尋常ではない暑さで、こう暑いと思うように読書がはかどらないという人も多いのでは。そこで、読書の秋を前に、肩慣らしとしてホテルのバイキングのように好きなものがちょっとずつ楽しめるアンソロジーなどいかがだろう。

  ◇  ◇  ◇

「裏切りの捜査線」米澤穂信ほか著

 マンション最上階のエレベーターホールで腹に包丁が刺さった遺体が見つかる。15年前にも同じ場所、状況でマンションのオーナーが殺され、犯人はまだ捕まっていない。現場で捜査中の女性科学捜査官・八条に、同期の警視・生駒が話しかけてきた。オカルト好きの生駒は、ある手順でこのマンションのエレベーターを昇降させると15年前の現場に戻れるとの噂を信じて、動画配信中に遺体を見つけた第一発見者だった。オカルト好きが高じて、このマンションに転居してきたといい、不法侵入でもない。八条は、捜査に関係ない部署に所属し、あれこれと口をはさんでくる生駒に閉口する。調べが進むと、被害者は栄養状態が悪く、見た目では分からないが、状況から15年前の事件の容疑者と思われた。(方丈貴恵著「メゾン・イニシェの怪」)

 他、居酒屋に居合わせた警察官2人の会話から解決したはずの事件の真相が明らかになる米澤穂信著「お見通し」など、人気作家5人が競演する警察ミステリー集。

(文藝春秋 880円)

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