【対談】シンクロの母・井村雅代コーチ×NSC講師・本多正識氏(前編)育成のプロが語る“ツカミ”の大切さ

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バカバカしいことをやるときは真剣に

本多 先生ご自身も講演会では気を付けているのでは?

井村 私も講演会行くと“前向けたろ!”って思ってます(笑)。

本多 ふんぞり返っている人もいる中で、面白かったらイスから背中離れますもんね。授業では生徒たちに15秒を1ブロックと考えてネタを作るように教えているんです。5秒フリ、5秒ボケ、5秒ツッコミで1パック。これを8個作れば2分で、M-1の1回戦絶対通ります。さらにそれぞれの時間を短縮して2秒フリ、2秒ボケ、2秒ツッコミにすればより多く詰め込める。言葉数も15文字より12文字のほうがリアクションが早く返ってくるからそぎ落とす。無駄な言葉はひとつもないんです。

井村 私も楽曲を作る際に、規定時間ギリギリの2分18秒00まで、最後に「あと一息吸うタイミングを入れたい」とかコンマ何秒までこだわって作っています。

本多 普通に過ごしていたら何もなく過ぎてしまう、瞬きの瞬間までこだわるのは全く同じです。

井村 大いに共通点がありますね。以前、横山ノック知事にアドバイスをいただいてなるほどと思ったこともありました。97年の大阪国体の開会式で作品を作ることになりましてね。大阪で選手登録している4歳から84歳まで、年齢も実力もバラバラな選手を輝かせようと、背中に発泡スチロールの甲羅を背負い、カメが泳ぐコミカルな作品を考え、知事にプレゼンしたんです。当時の知事が横山ノック知事で、一言。「お笑いのようなことをするときはいいものを使いなさい」とおっしゃってくださったんですよ。

本多 他の方だったら「で、予算は?」から入りそうですけどね。

井村 お笑いだから、安物で親近感を出そうとすると、全体が安っぽく見えるということなんですね。

本多 「バカバカしいことをやるときは真剣に」とよく言われます。

■小道具はスプラッシュ

井村 舞台でコケるのも練習されているんでしょうね?

本多 はい、実は。足をどう踏み込んだらきれいに転べるのか練習して。岡八郎師匠が「何か倒れる時は音出せよ」と言っていたと昨年亡くなったおかゆうた君にも聞きました。

井村 私も選手たちに「あなたたちの小道具はスプラッシュ。飛沫と音」って教えています。パワーを持って水を叩けばパチーンと鋭い音がする。人の心をどう動かすか、注目の集め方など手段は一緒なんですね。 (後編につづく)

 ◇  ◇  ◇

▽井村雅代 1984年ロス、88年ソウル、92年バルセロナ、96年アトランタ、2000年シドニー、04年アテネ五輪アーティスティックスイミング日本代表コーチ。06年年末から中国代表チームのヘッドコーチに就任し中国に初のメダル受賞をもたらし、その後イギリスでも指導。14年からは日本代表コーチに復帰。

▽本多正識 1958年大阪府生まれ。オール阪神・巨人、今いくよ・くるよらの漫才作家として活躍。NSC講師歴35年のキャリアから生まれた「1秒で答えをつくる力」(ダイヤモンド社)は累計8刷10万部、中国出版も決定。

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