「どんなモチーフでもロックにしてやる!」ポールの作詞の挑戦に加え、奇抜な効果音も導入
- 印刷
- >> バックナンバー
- 今だけ無料
アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年5月26日発売)⑧
1曲目(無料)から読む
■『フィクシング・ア・ホール』
またまたポールの曲。創造性が止まらない。このアルバム屈指の地味な曲でも、創造性があふれ出して歌詞に向けられる。
「雨が漏れてくる穴を直しているんだ」「ドアの割れ目を直しているんだ」「この部屋をカラフルに塗っているんだ」──世界で最初で最後、唯一無二の「リフォーム・ロック」の誕生だ。
↓………ここから続き………
思えば、駐車違反ロックの『ラブリー・リタ』、家出記事ロックの『シーズ・リーヴィング・ホーム』と、「どんなモチーフでもロックにしてやる」というポールの作詞家としてのチャレンジが、このアルバムのひとつのテーマだったのだろう。
■『ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト』
作詞のチャレンジに加えて、さまざまな効果音の導入もアルバムのテーマとして大きかった。
この曲でよく知られているのは、遊園地で使われるスチームオルガンの演奏が入ったさまざまなテープを切り刻み、つなぎ合わせたという逸話だ。
演奏芸術から録音芸術への転換、発展。
今となってはデスクトップでちょちょいと出来るのだろうが、当時、必死で手作業を強いられたエンジニアのご苦労を考えるとゾッとしてしまう。
■『グッド・モーニング・グッド・モーニング』
こちらも動物の鳴き声の効果音がたっぷり。あとジョンが当時好んだ「拍子変え」も多用されていて、ところどころ「今何拍子なのか」が分からなくなってしまう。演奏するのも大変だったのではないか。
個人的に好きなのは、この曲から、次の『サージェント・ペパーズ~(リプライズ)』への移り方。実にかっこいい。今聴いてもゾクゾクする。
■『ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー』
アルバム唯一のジョージの曲。『リボルバー』では3曲も入っていたのに、ここではこの1曲だけ。そのせいか『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』と並ぶ5分台の長尺。
歌詞もタイトルからして哲学的。また、まだロック成分が残っていた前作『リボルバー』(66年)の『ラヴ・ユー・トゥ』を超えて、もうまんまインド音楽という感じのメロディー。ただインドの楽器とストリングスがコラボすることで、他にはない音になっているのだが。
ここも個人的には、エンディングの笑い声が「インド、インドはいいけど、もうちょっと冷静になれよ」と、ジョージを冷やかしている感じで好きだ。
■「日本の新しい音楽1975~ "New Music" from 1975」発売!
スージー鈴木氏の大好評連載が書籍化されました!Amazonでも好評発売中です!
■好評連載「沢田研二の音楽1980-1985」をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」(日刊現代/講談社)発売中!


















