ナイツ塙が漫才協会会長への就任半年「お笑い界の“巨人”であるヨシモトに肩を並べたい」

公開日: 更新日:

 2023年6月、第7代漫才協会会長に就任したナイツ塙宣之(45)。時代の荒波を越えた漫才協会の軌跡と、昭和99年の現在地を会長に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 “浅草の顔”として地上波テレビに出演し、「師匠イジリ」芸で漫才協会の知名度向上に貢献してきた塙だが、その裏では地道な組織改革を進めていた。

M-1グランプリで2021年にチャンピオンになった錦鯉、そしてSNSで影響力の強いオリエンタルラジオにも直接スカウトして、漫才協会に加入してもらいました。ダメもとで声をかけていたので、まさかの快諾にこっちが焦りましたよ。テレビでも売れっ子の彼らのおかげで、23年はこれまでにないくらい協会を扱ってもらえました。

 一方で、もともと協会に所属している師匠や若手たちは地上波に結局呼んでもらえないのも事実。野球で例えたら、FA補強しすぎて、生え抜き選手の活躍の場を潰しちゃってるんです。大好きなジャイアンツの原監督と同じ失敗をしてしまいました(笑)」

 漫才協会は、現在、101組、206人の芸人が所属しており、浅草・東洋館を本拠地に公演開催と漫才師育成を目的として活動する一般社団法人である。今では、ナイツのM-1グランプリでの躍進や、TBS系「水曜日のダウンタウン」で脚光を浴びたことで、若者を含めた幅広い世代が足を運ぶようになったが、かつては「昭和の残滓」ともいえる冬の時代があった。

「僕たちナイツは、02年に当時の事務所の社長命令で協会に所属しました。ビートたけしさんや欽ちゃんさんがいた浅草の華やかな時代はとっくに終わって、若者たちの盛り場は新宿や渋谷になっていった時代です。浅草にはまだ、ボロいボウリング場とか、寂れた風俗とか、ピンク映画館が残っていて、夜は歩くのがちょっと怖かった記憶が残っています。

 寄席に5、6人しかお客さんがいないことはザラで、10人を超えたら師匠たちが『おっ、今日は“ツばなれ”だ』って喜んでたんですけど、それが嫌で嫌で。まだ、24歳ですからね。腹の内の9割は漫才協会が嫌だ、でも1割は内海桂子師匠の弟子になったら事務所で優遇されるかな、なんて打算もあって入ったんです」

お笑いの殿堂」と呼ばれた時代もあった浅草が、数十年ぶりに笑い声で包まれるようになったのは、意外にも交通の力が大きいという。

「05年につくばエクスプレスが開通して、東洋館のすぐ近くに駅ができたんです。その影響で周辺の街がものすごくきれいになって、観光客が東洋館の方まで足を延ばすようになりました。そして、その年にちょうど浅草が舞台の落語をテーマにしたドラマ『タイガー&ドラゴン』が大ヒット。徐々に寄席が埋まるようになりました」

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です