巨匠・山田洋次監督は、なぜ現在もコメディーにこだわるのか? 92歳で語った夢は

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 その山田コメディーの代表作のひとつ、「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)での、武田鉄矢への演出は今も語り継がれている。27歳で映画初出演の武田の役どころは、福岡から出てきたモテない田舎者の青年。刑務所帰りの男(高倉健)が妻の待つ家へと向かう道中を共にする。ひとり旅のところ、ナンパした女(桃井かおり)目当ての青年は、ゆでがにを女に食べさせ、自分でも食べ過ぎて腹を下してしまう。それで「情けなかねえ」とティッシュの箱を抱え、尻を押さえながら北海道の野辺をヨチヨチ走るシーンは爆笑もので、高倉健が演技を忘れて噴き出す姿が映像に残っている。

 だが、撮影中は「違う!」と数え切れないほどの怒声を監督から浴びせられていたのは有名な話だ。武田は昨年発売のエッセー集「向かい風に進む力を借りなさい」でも振り返っているが、こんな演出があったという。

「いいかい、喜劇というのは演じる人が悲劇を演じないと、喜劇にならないんだ。渥美さんはね、寅さんが女性に振られるシーンでいつも涙をためているんだよ。だからお客さんが笑うんだ。きみが笑いながらやってどうするんだ!」

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