【幕末ヒポクラテスたち】医学の実情と人間模様を歴史の大変革で味付けした豪華版

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本作の「2つの魅力」とは?

 本作の魅力はいくつかある。そのひとつが蘭方医と漢方医の対立。医学の新旧対決とでも言おうか、太吉と玄斎がまるで子どものように互いをけなし合う姿が笑える。佐々木蔵之介特有のおとぼけ演技が特に冴えている。

 もうひとつは伝染病に対する村人の無知と無理解だ。病の恐ろしさを知らないため、太吉の助言を無視して被害を拡大させてしまう。大衆の愚かさをひしとかみしめることができる展開だ。

 また、荒くれの新左のその後も興味深い。まるでヤクザ者のような荒くれが一転、医学を志して長崎を目指す。スクリーンに映る15年後の雄姿は感動もの。人間再生のドラマとも言える。

 このほか京都で暴れまくる新撰組が登場して太吉に絡むくだりも無理がない。大昔の医学の実情と人間模様を歴史の大変革で味付け。重箱のように豪華ゆえ、ラストまで退屈せずに見ることができるはずだ。

 脚本を担当したのは「ガキ帝国」(1981年)や「ションベン・ライダー」(83年)、「沈まぬ太陽」(09年)などを手がけたベテランの西岡琢也。1960年作の「ふんどし医者」を原案にオリジナリティーを加味してドラマを練り上げた。監督の緒方明は2010年に「死刑台のエレベーター」(57年のルイ・マル作のリメーク)を撮った実力派である。

 現代は漢方と蘭方が仲良く棲み分けをはかっているが、150年前は劇中のような足の引っ張り合いもあったのだろうなぁと、妙に納得したのだった。(配給=ギャガ)

(文=森田健司)

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