ユーチューバーが主演のインド・ラブコメ「冴えないボクと映えるキミ」

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「冴えないボクと映えるキミ」

 インド映画といえば「ムトゥ 踊るマハラジャ」は昔の話。先月公開の「ドゥランダル作戦」は韓国サスペンスばりの印パ国境紛争ドラマだし、逆に来月上旬封切りの「冴えないボクと映えるキミ」は日・韓・香港あたりなら明日にでもリメークできそうなラブコメ。それも主演はユーチューバー上がりだ。

 話は単純。高校時代にクラスメートに告白できずに振られた若者が、10年後、ひょんなことから彼女を捜す羽目になる。たきつけたのがインスタグラムの有名インフルエンサー。2人は彼女捜しの旅をするうち次第に引かれ合って……というのは現実には「ありえねー」ラブコメならではの設定。

 しかし細部の感情の描き方が意外に細やかで、日本の中高生向けマンガにありそうな観客の気持ちのつかみ方がうまい。たとえば阿賀沢紅茶作「氷の城壁」(全14巻 集英社 各巻990円)は、会社勤めのかたわら趣味で描いた作品をインディーズの投稿サイトに上げたものが人気を呼んで商業デビューした高校生ラブコメ。縦ロールで読む方が基本だからタブレットで読むのに適しているのもユーチューブに通じる。

 こういうのを見ると21世紀も四半世紀過ぎて、若者たちの感性は本当にグローバル化したのだなあと実感する。

 映画の主演アビシャン・ジーヴィントはチャンネル登録者14万人のユーチューバー。撮影所も映画学校も経由しない自作動画が評判を呼び、25歳で劇場公開作に初進出。その第1作が今年初めに日本公開されてヒットした「ツーリストファミリー」というのだから、まさしくSNS時代ならではの出世物語だろう。

「侍タイムスリッパー」もそうだが、ステレオタイプ型のエンタメは業界外で情熱を燃やした人材の方がむしろ目覚ましい時代になってきたような気がする。

 〈生井英考〉

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