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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

10年前、ギャラクシー賞“大賞”に輝いたのは「報道ステーション」だった

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 しかもその内容は、日本国内の格差問題、法人税減税の効果への疑問、さらに新たな税制改革の検討など、安倍政権の経済政策が抱える問題点の指摘や提言となっていた。ともすれば増税先送りにばかり目が向く中で、有効な判断材料となる専門家の知見を伝えたことの意義は大きかった。

 もう1本は翌18日の「特集 独ワイマール憲法の“教訓”」である。1919年に制定されたドイツのワイマール憲法は、国民主権や生存権の保障などを盛り込み、世界で最も民主的と称えられていた。しかし、その民主主義憲法の下で、ヒトラーが独裁政権をつくり上げていったことも事実だ。

 この特集では古舘伊知郎キャスター(当時)が現地に赴き、ヒトラー政権の成立過程を探っていった。中でも、ワイマール憲法の研究者が自民党の憲法改正草案について語る場面が圧巻だった。草案に書かれた「緊急事態条項」について、ワイマール憲法の「国家緊急権」と重なると警告したのだ。時代も状況も異なるが、痛恨の歴史から学べることは多い。

 どちらの特集も、そのテーマ設定、取材の密度、さらに問題点の整理と提示などにおいて高く評価できるものだ。一見地味だが、まさにギャラクシー賞に値する取り組みであり、選考した方々の見識に驚かされた。

 当時、2本の特集が放送された3月をもって古舘キャスターは降板した。現在の「報道ステーション」だけでなく、各局の報道番組もまた、この10年の間にどれだけ挑戦的な“調査報道”を行ってきたのか。自問してみる価値はあるはずだ。

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