デジタルの未来(3)危機と分断の時代に未来をいかに見据えるか「未来思考2045」安川新一郎著

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 デジタルの未来は混沌として先行き不透明。類書も続々だ。

  ◇  ◇  ◇

「未来思考2045」安川新一郎著

 あっという間に日常生活に浸透したAI。いま世界は大転換期にあるという。VUCAと呼ばれるのがそれ。「変動的」「不確実」「複雑」「曖昧」を意味する英単語の略だ。しかし著者は不確実でも曖昧でもないと見る。世界の予見可能性は「むしろ高まって」いるというのだ。それを読み取る技法が「未来思考」。

 著者はマッキンゼーのコンサルタントやソフトバンクの社長室長などを経てきたデジタル事業の専門家。歴史をいくつかの段階に分ける。1985年は東西冷戦の構造が解体され始めた年。それから20年後の2005年はグローバル自由主義経済や国際標準が確立されて世界統合が進む一方、新しいアクターが登場して分散化が始まってもいた。組織に属さない個人が活躍する素地が固まったのだ。本書はこの統合化と分散化の時代に起こった変化が、いま世界で起こっていることの源だという。

 かつての地域的・文化的な多様性は失われ、世界中が驚くほど似通った価値観のもとに統合され、人々は同じSNSの上で、同じ幸福の尺度を基準に自分を測るようになった。この中で起こった格差は、世界の「どこでも生きていける人々」と「取り残される人々」の対立だ。その中で人々の意識は多元化し、エリートと庶民とで自己像の作り方までが違っている。危機と分断の時代にあって未来をいかに見据えるか。壮大な試論だ。

 (ダイヤモンド社 2200円)

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