愛人バンク「夕ぐれ族」筒見待子の転落人生

公開日: 更新日:

<1983年12月>

「関係のない人は出て」
 刑事の一言で、テレビ局の取材クルーは追い出されてしまった。

 12月8日午後1時半、東京・銀座の小さなビルの一室に十数人の私服刑事たちが一斉に踏み込んだ。そこは「夕ぐれ族」のオフィス。取材クルーは社長の筒見待子を待っているところだったが、会うことはできなかった。ちょうどそのころ、オフィスから歩いて数分の自宅マンションで逮捕されていたからだ。オフィスにいた実質的な経営者Kと営業責任者のMも逮捕された。容疑はいずれも売春防止法違反。この逮捕で、22歳と語っていた筒見の本当の年齢が25歳だったこともわかった。

「わが国で初の会員制登録機関・愛人バンク」と銘打った夕ぐれ族が発足したのは前年1月。入会金は男性20万円、女性は0~10万円で、気に入った相手が見つかるまで何回でも紹介するシステムだった。筒見はその年の秋ごろからマスコミに登場するようになり、すぐに引っ張りダコになる。夕ぐれ族のユニークさに加え、筒見のあどけない顔がテレビ受けしたのだ。「笑っていいとも!」に出演したり、「トゥナイト」などの深夜番組にも頻繁に登場し、人気はウナギ上り。ちょうど松田聖子の全盛期で、筒見は「風俗界の聖子ちゃん」ともてはやされ、テレビ局も彼女をタレント扱いした。その広告塔効果で夕ぐれ族の会員数は5000人に達し、入会金だけでも5億円を売り上げたと報じられた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  2. 7

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 8

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?