著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

「新年早々 不適切にもほどがある! ~真面目な話、しちゃダメですか?~」コメディーだからこそ言える“本音”が秀逸

公開日: 更新日:

 年末年始に放送されたスペシャルドラマの真打ちと呼べそうだ。4日の「新年早々 不適切にもほどがある! ~真面目な話、しちゃダメですか?~」(TBS系)である。

 物語は2026年1月から始まった。例によって昭和と現在を忙しく行き来する市郎(阿部サダヲ)。1987年の純子(河合優実)とユズル(錦戸亮)の仲を邪魔したり、阪神・淡路大震災が起きる神戸に行こうとする95年の純子を引き止めたりと奮闘が続く。

 一方、渚(仲里依紗)は都議会議員の平じゅん子(江口のりこ)と出会い、政治家としての信念に共鳴。テレビ局を辞め、国政選挙に挑む平をサポートするようになる。

 今回も“笑える社会批評”が満載だ。SNSに過剰反応するテレビ局は、「ネットで叩かれやすい」と政権批判を回避。ドラマは「テレビの役目って何?」と問いかけていく。それは、市民が政治について発言することを抑え込む風潮に対する違和感ともつながっている。

 また10年後の2036年、平は「女性初の総理大臣」となるが、誤った不倫疑惑で辞任を迫られる。放置すれば次の政権が「自衛隊海外派遣」を実行し、日本がミサイル攻撃を受けることを知る市郎たちは、可能な範囲で未来を変えていく。

 このドラマ、コメディーだからこそ言える“本音”が秀逸なのだ。来年の正月あたり、また市郎たちに会えるような気がする。

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