作家・紗倉まなさん 実の祖母をモデルにした意欲作『うつせみ』に込めた思い

公開日: 更新日:

 答えのない“美”を追求するという痛みを象徴するシーンがある。グラマーな体形である辰子は電車などでの舐めるような視線に悩み、スレンダーな同期・みぞれは摂食障害に苦しむ。それぞれの苦しみを理解しているはずなのに互いの体形を羨望してしまう。一方でばあちゃんは、はち切れそうなほどの胸を手に入れるため、年金を使ってまでしてローンを組む。

「この10年くらいで、整形の社会的なイメージは大きく変わりました。ファッションやメークのようにカジュアルになったんです。技術の向上によって身体的にも経済的にもコストが軽減。SNSでは整形の経過を投稿するアカウントも出てくるほど身近な存在になりました。それでも、手術には痛みが伴うし、理想を追い求めるには精神的な痛みもつきまといます。個人的には、整形は個人の努力だと肯定的にとらえています」

 辰子が所属する事務所の女性マネジャーは整形を「売れるための手段」として考え、辰子の母親は〈女の子は顔が命。傷がつくのはダメ〉と口にする。

 十人十色の価値観が随所にちりばめられ、美を追求する人々の群像劇の様相を呈す。そんな状況をばあちゃんが一言で言い表す。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発