「おるねおるね」小林哲朗著

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「おるねおるね」小林哲朗著

 猫は自分の気配を消すのがとっても上手。風景に溶け込み、人間に気づかれることなくくつろぎ、移動し、そして時には観察でもしているかのような視線でじっと人間を見つめている。

 本書は、一見すると町の点景なのだが、風景の中に潜んでいるそんな猫たちを探しながら楽しむ写真集。

「おるね」とは、猫がいるよということで、人気を呼んだ前作「おるね」の続編。

 1ページ目は簡単だ。

 建物と道路の間の隙間に身を潜めたサビ猫が、可愛らしい耳と目だけを出してこちらをうかがっている。

 どこかの路地を写した写真になると一気に難しくなり、つい目を凝らしてしまう。ブロック塀の上やその先に立つ家の屋根の上、猫がいそうと思われる場所を探しても見当たらない。

 猫がいるのは高いところだけじゃない。道の先、道端にいるじゃないかと思ってよく見たら、それは茶色い雨どいとコンクリートで、目の錯覚だった。

 このように、猫を探していると、風景の中のさまざまなものまで猫に見えてきてしまうのだ。

 改めて画面の隅々まで確かめると、ようやく画面の左端、建物の陰からこちらをのぞき込んでいる茶白の顔が見つかった。

 続く写真も、日当たりのよい路地が舞台なのだが、左側に続くブロック塀の短い影の一部が猫の耳の影に見え、思わず発見したかと思ったが、そんな読者を嘲笑するかのように黒白の猫が建物の陰から顔だけ出してこちらの様子をうかがっている。

 そのお隣のページには、廃虚化したアパートが写り、建物の前のスペースは雑草でおおわれている。どれほど目を凝らしても見つからなかったが、時間を費やし、ようやく、ハチワレの猫を見つけることができた。

 決してあきらめてはいけない、猫は必ず「おるね」なのだから。

 作品の合間に、ヒントのような写真が添えられていたり、登場する猫たちのアップの写真があったりと、猫欲を満たしてくれるショットも多数。

 日本だけでなく、タイのバンコクでも撮影。バンコクの猫は人懐っこくカメラを向けるとすぐに近づいてくるので逆に撮影が難しかったという。

 バイクの下からこちらをうかがう猫や、路地に沿った家の2階のベランダの柵に寝そべり、こちらを見下ろす猫など、異国の風景の中にいる猫を探すのもまた楽しい。

 中には、露店の売り物の野菜の合間にひょっこりと顔を出す黒白猫、よく見るとその背後のプラスチック桶の隙間に隠れるように見える白猫も。

 そう、1枚の写真には何匹もの猫が隠れている場合もあるのでご注意。

 全部で120匹もの猫が隠れているそうだ。

 さてあなたは全部見つけられるだろうか。

 家族で楽しめ、プレゼントにも喜ばれる好企画。本書で目を「鍛えれば」、街中で猫と出会う確率も上がるかも。

(亜紀書房 1760円)

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