「学校では教えてくれないシェイクスピア」北村紗衣著

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「学校では教えてくれないシェイクスピア」北村紗衣著

 昨年末の三谷幸喜が脚本を手掛けた連続テレビドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」は、タイトルからも分かるようにシェイクスピア劇へのオマージュが随所に見られた。死後400年以上経ってもいまだに世界各地で毎年数多くの作品が上演され、原作を翻案した小説、映画、ミュージカルなどが量産されているシェイクスピア。本書は、「なぜ、今も世界一売れている劇作家なの?」という素朴な疑問を軸に、シェイクスピア研究者が男子高校生を相手にシェイクスピアに関するあれこれを多層的に授業したもの。

 フェミニスト批評家でもある著者は、男子高校生を相手に授業する意義を、女子に比べてジェンダーの問題に触れる機会が少ない男子の方がジェンダーに関する教育を必要としているからだと述べる。入門的なシェイクスピアの伝記的事実や作品の解説に加え、ジェンダーやセクシュアリティーを考えながらシェイクスピアの楽しみ方を探っていくのが本書の特徴だ。

 例えば「オセロー」を人種とジェンダーの側面から読み解く。当初ムーア人のオセローを演じるのは顔を黒く塗った白人で、初めて黒人俳優が演じたのは19世紀になってから。20世紀末には人種を逆転して、主要人物以外は全員黒人にしたり、イアーゴーだけを白人にするキャスティングも登場する。2001年のアメリカ映画「O」では、「オセロー」の筋書きをほぼそのままにして、アメリカの私立名門高校を舞台に人種問題、デートDV、スポーツ界の薬物問題といった社会問題が取り込まれている。

 また生徒たちにシェイクスピア作品の女性名を割り当てたり、バズ・ラーマン監督の映画「ロミオ+ジュリエット」を見た上で、生徒たちにロミオとジュリエットが出会うパーティーの演出を考えさせたり、まさに「学校では教えない」ユニークな授業ぶりも楽しめる。 〈狸〉

(朝日出版社 2090円)

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