「役立たず」「無能」と罵られても会社にしがみつくのが大正解
「あのオッサン、また新聞読んで仕事してるフリしてるよ」――。若手社員の陰口が聞こえてきそうだ。サラリーマンも定年を間近に控えるか、いったん定年を迎え雇用延長を申し込む段になると途端に不愉快なことが多くなる。が、ここでムカッ腹を立ててはいけない。「知り合いの会社が高給で迎えてくれた」などの“特殊事情”がない限り、今の会社で働き続けた方が金銭的には間違いなくトクだからだ。
たとえば、アナタが定年まであと2年の58歳(妻は56歳)だとしよう。早く辞めてもらいたい会社は「退職金20%増」を提示してきたとする。仮に、現在の月収が50万円、60歳まで勤めた場合の退職金が2000万円、現状の退職金が1900万円だと仮定すると、2割増しなら合計2280万円となる。これだけ見れば「あと2年間働かなくても退職金が多くもらえる」と一見トクなように見える。が、さにあらず。会社員を辞めたとたん、個人にはさまざまな負担がのしかかってくるのだ。特定社会保険労務士の山田信孝氏が言う。