いまや私大の農芸化学科は東大農学部より注目される
大学受験でも、近年は農学部の人気が高まっている。大学農学部のはじまりは、駒場農学校(1878年)だ。これが現在の東京大学農学部、筑波大学生命環境学群生物資源学類、東京農工大学農学部、同時期に出来た札幌農学校は北海道大学の前身となっていって、以降、国公立大を中心に設立されてきた。
歴史があり、最も偏差値が高い東京大学農学部(67・5)は、動物や植物、微生物を扱う「応用生命科学課程」と、農業や農業経済を学ぶ「環境資源科学課程」、それに獣医を目指す「獣医学課程」の3課程から、専修を選ぶ仕組みだ。ほとんどが大学院に進み、卒業後は農水省をはじめとした官公庁や大手メーカー、商社などに就職する。とはいえ、東大は農学分野の研究成果ではパッとしない。
「これは入試制度に問題があって、農学部は理科2類ですが、工学部や文系の希望学部に進めなかった学生も多い。研究開発者やバイオ関連の技術者育成には他大が健闘しています。近畿大農学部は、世界で初めて成功したクロマグロの完全養殖やバイオ燃料の開発などで国内有数の成果をあげています。これらの業績も、5年連続で志願者数を伸ばしている一因です」(大学通信ゼネラルマネジャーの安田賢治氏)