浅草「ロッジ赤石」100種類のメニューで客を飽きさせない
取材に訪れたのは平日の午後3時半。「お昼時」から外れている時間帯なのに、来店客のほとんどがフードメニューを注文していた。しかも、ナポリタン、ハンバーグ、ピザ、豚の生姜焼きと、オーダーはバラバラ。オーナーの小沢康純さんは手際よく調理をするのだが、それでも厨房から離れることはなかった。
「日によって繁閑があります。今日は忙しい方ですね。朝から何も食べていません」
そう言う小沢さんの立場に自分がいたら、恐らくぶっきらぼうにしゃべるだろう。しかし、ご本人は次々と舞い込む、てんでバラバラのオーダーを冷静に受け止めている。その姿に正直驚いた。
創業は昭和48年。小沢さんの父親と叔父が始めた。出身が長野県の赤石。それが店名の由来だ。
「豊富なメニューの有名店になった理由は何ですか」と尋ねたら、「当時はまだ珍しかった24時間営業だったからですよ」との返事。浅草寺の裏手は東京屈指の花柳界。料亭で働く人、遊ぶ人、それから仕事終わりのタクシー運転手らを主なお客さんにしたという。