俳優・伊吹吾郎さん “2人の母”を思い出す懐かしいゴッコ汁
時代劇「水戸黄門」の3代目格さん役で親しまれ、映画、バラエティーでも活躍中だ。タフで実直な性格は北海道の小さな村・熊石(現・二海郡八雲町)で育まれた。
「家の前が海、後ろが山、目の前の海の向こうには奥尻島という環境で生まれ育ちました。全校児童50人ぐらいの小学校から帰宅すると、カバンを家の中へブン投げ、外で泳いだりチャンバラをやっていましたね」
活発だったが、生い立ちは複雑。母は生みの親と育ての親の2人いた。
「生後12日目に親父が屋根から落ちた背骨のケガの後遺症で亡くなり、実の母親は実家の青森に3歳上の姉を連れて戻ったんです。僕は父方のじいさん、ばあさんに育てられました。実の母が遠くにいることは何となく知ってたけど、寂しいとか恨むとかはなかった。親父は7男2女の三男で家を継いでいて、じいさんやばあさん、叔父や叔母がかわいがってくれましたから。礼儀作法には厳しかったけどね」