アフターコロナでリストラ増加「引く手あまたの60歳」を迎えるノウハウを専門家が伝授

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 早期退職・希望退職を始める企業が増えた。今年の募集人数は前年より3カ月早く1万人を超えている。管理職が多いミドル世代はリストラの対象に含まれるが、50歳からをどう過ごすかで、引く手あまたの60歳を迎えられる。「50歳からの人生が変わる痛快!『学び』戦略」(PHPビジネス新書)の著者で、FeelWorks代表の前川孝雄氏に聞いた。

  ◇   ◇   ◇

 今年4月に「改正高年齢者雇用安定法」が施行、「70歳までの就労確保」が努力義務として企業に求められた。2025年までには「65歳への定年の引き上げ」「定年廃止」「65歳までの継続雇用制度」のいずれかが完全義務化される。

 その時に会社から望まれて雇用延長するか、独立かを選べる立場になるには、50歳からの「学び」次第だという。

「今の会社は、旧態依然とした価値観から抜け出せないミドル以降の世代には『卒業してもらった方がいい』という考えです。最近は、50代の社員を対象にしたセカンドキャリアやライフプランの研修を実施する大企業が増えていて、表向き定年後に目を向けた研修としながら、リストラの意思があって導入している企業もあります。50代になっても忙しさは変わらないので、急な転職や独立など新しいことを始めるのはリスクが伴いますが、これまで培った経験や趣味などから『学びなおし』することで、第二の人生のキャリアプランを描くことが大事。ただし、50歳から10年後をゴールにするとやるべきことを先延ばしになってしまうので、まずは逆算して1年間の目標を立てて行動しましょう」

専門書を10冊読む

 では、何から始めたらいいのか? やみくもに始めても意味はない。

 まずは「読書」だという。興味ある分野や営業や人事などの経験を積んできたキャリアのプロが書いたビジネス本だ。

「コンサルタントの仕事に興味があるなら、コンサルティングに関する入門書を10冊は読みます。仕事のアウトラインやポイントがざっと分かりますし、自分が経験してきたことで、客観的にどんなスキルが世の中に求められているのかも分かります。自分に足りないものにも気付けます」

 そのジャンルで名著・バイブルとされている本は必ず読みたい。

 次に単発の講演会、セミナーをのぞいてみる。自治体や公的機関が開催していたり、大学が実施する市民講座なら無料や安い費用で参加できる。

 これが終わったら次のステップへ移る。

「興味や関心の高いテーマが見つかれば、社会人大学院などで学ぶこともおすすめです。セミナーや講演会を聴くのはインプットの作業。将来に役立てるにはアウトプット型にシフトし、学びを深めていく必要があります。最近の社会人大学院はアクティブラーニングが主体になっているので、ディスカッションやゼミで発表したり、アウトプットを求められます」

 大学院の選び方は、学校名ではなく、誰から学ぶかが重要だ。

「教授など講師の実績や相性が大事なので、まずは科目履修生がいい。もっと深めたくなれば社会人入試を受けます。教授は長年その領域でやっているので、業界にネットワークを持っています。ビジネスパートナーを紹介してもらったり、縁が生まれやすくなります」

 費用は雇用保険の加入期間などの条件があるが、教育訓練給付制度を利用すれば、最大で受講費用の70%の給付を受けられることも。

 55歳で役職定年を迎える企業も多い。社内外には「肩書」で近寄ってくる人間もいるが、この時期に世代や会社とは異なる「ともに学べる仲間」と出会うことが何よりの価値だという。

「『会社村』の評価で生きてきたミドル世代も、外に出ることで自分も気付かなかったスキルを認識できます。会社を辞めずに自分を相対化することができるチャンスです」

 学べる環境に身を置いたら、仲間と積極的に勉強会を開催してみよう。せっかくやるなら自ら主宰者となるのだ。

「自分が主体となって勉強会を立ち上げ、他人を巻き込むプロセスを経験すること自体が実践的な学びになるからです。主催者ならテーマも自分の意向を反映しやすく、ゲストスピーカーを調整すればより仲良くなれます。また、社会人大学院なら、お互いの業界の話を交代してスピーチするといいでしょう。また、自分が講師役を務めれば務めるほど、アウトプット能力が付きます」

生き方を学べる伊能忠敬

 ミドルから人生を大きく変えた歴史上の人物もいる。

「伊能忠敬は日本地図の原型を作った偉人ですが若い頃から地理の専門家ではなく、現在の千葉県佐原で実業家として活躍していました。天文学は個人的趣味でやっていて、昔の中国の暦が実際の天文現象と合わないことから、書物をむさぼり読んで、江戸の学者たちなどに話を聞いていて、高橋至時という30歳すぎの若手研究者に出会い、弟子入りをしたのがきっかけといわれます。この時、忠敬は50代です。現代に置き換えたら70~80代の感覚でしょうが、このあと偉業を達成したわけです。明治時代の思想家である内村鑑三も、『後世への最大遺物』という講演録で、人間は〈真面目なる生涯〉〈思想〉の順番で後世に残すべきだとし、〈事業〉や〈金〉は二の次だと説いています。私自身もハッとさせられ、学びの計画を立てるための自己分析をする参考にしています。彼らの生きざまを学ぶこともヒントになるかもしれません」

 必要とされる人になるためには、「読書」→「セミナー参加」→「大学院」→「勉強会主宰」と段階を踏めばいい。

 定年まで10年もあれば時間が足りないという心配もない。まずは、内村鑑三の本もいいかもしれない。

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