立花隆の好物だった小石川「遠州屋」の牛モツ煮込みには、上質な甘みとコクがある
ネットリ&コリコリ感がたまらない
見回すと地元客がほとんど。ちょいとハイソな高齢マダム3人が生ビールを楽しんでいる。アタシの隣にはスナックのママ風と彼女より20歳は年下であろう若い男とのやりとりが聞こえる。「おごってあげるからもっと食べなさいよ」「そんなに食えないよ~」。訳ありカップルか。奥では地元のベテラン4人がゴルフ談議をしながら焼酎を傾けている。アタシはカシラの塩と名物の団子を追加(各170円)。団子はいわゆるツクネなのだが、鶏ではなく豚軟骨をミンチにしたもの。ネットリ&コリコリ感がたまらない。ここでハイボール(480円)に。
飲みながら思ったのだが、文京区はまさに文教エリアで、大学をはじめ付属の中高に大病院、そして音羽に講談社がある関係だと思うけど、出版印刷関係の中小企業も多い。乱暴な言い方をすれば、それ以外は住宅街だ。通学時間の三田線は高校生たちであふれている。アタシが足を踏み入れなかった理由がよ~くわかった気がした。
勘定時に「こんな人も来ていたんですよ」と鈴木さんに見せられたのが平成6年の文春「私の大好物」のグラビアページ。そこには立花隆のコラムが。こちらのモツ煮込みが好きだったらしい。なるほど。やっぱり文教地区。来てる人が違うね。 (藤井優)
○もつ焼、もつ煮込 遠州屋
文京区小石川1-9-6