富士フイルムHD<下>古森CEOが進めた「脱・写真フィルム」
3月31日、富士フイルムホールディングス(HD)は、6月の株主総会で古森重隆会長兼CEOが退任すると発表した。
古森氏は2000年に社長に就任し、21年間にわたりトップに君臨してきた。そしてこの間、富士フイルムHDは姿を大きく変えた。
社長就任当時の社名は富士写真フイルム。その名のとおり写真用フィルムの会社だった。しかしすでにデジタル化の波が押し寄せており、写真フィルムの前途には暗雲が漂っていた。そこで古森氏は「写真フィルムではなくデジタルで稼げる会社を目指す」と大きく舵を切る。
今から考えれば当然の選択だろう。しかし、当時は営業利益の半分を写真フィルムが稼いでおり、それを捨てるのは簡単なことではなかった。それでも古森氏は「トヨタがクルマを売れなくなったらどうする」と社員にハッパをかけ続けた。
就任3年後には、23年間にわたり社長・会長として写真フィルム事業を伸ばしてきた大西實氏が退任、古森氏はCEOとして全権を掌握する。そこから“脱・写真フィルム”の動きは加速する。