著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

ニチイHD(下)トラブルの発端は2019年…創業家の相続税対策でファンドの餌食に

公開日: 更新日:

 創業者の寺田明彦氏が2019年9月28日、膵臓がんのため83歳で亡くなったのがトラブルの発端である。寺田氏は企業による本格的な介護サービスを国内で最初に始めた。長野県出身で1957年、早稲田大学教育学部を中退。68年に起業し、医療事務受託事業に手を染めた。73年保育総合学院(75年にニチイ学館に社名変更)を設立、介護事業に乗り出した。99年東証2部に上場(2002年東証1部に昇格)した。

 明彦氏は親族に当時の時価で200億円超といわれたニチイ学館の株式を残した。

 納付する相続税は莫大だった。市場で持ち株を売却・換金すれば株価が暴落する。創業者一族が保有する株式を会社が買い上げて自社株とする方法があるが、これだと、創業家は大株主でなくなり、経営から外れざるを得なくなる。寺田家はこれは避けたい、と考えた。

 そこであみ出されたウルトラCがMBO(経営陣が参加する買収)だった。

 株式を相続した息子ら親族と、資産管理会社、ニチイ学館の森信介社長が20年5月、米ファンドのベインキャピタルと組んでMBOを表明した。TOB価格は5月7日の終値価格に37%のプレミアムを乗せ、1株1500円とした。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々