政府公表資料はウソ 安倍官邸が隠した米教授“本当の提言”
22日に第3回が開かれた「国際金融経済分析会合」。米ニューヨーク市立大・クルーグマン教授も来年4月の消費増税反対を提言したが、増税延期の風向きが強くなったのは、先週16日に行われた第1回の米コロンビア大・スティグリッツ教授の提言がきっかけだった。
だが、ちょっと待って欲しい。会合から2日後の18日に政府が公表したスティグリッツ教授提出の資料を見ると、消費増税についての記述はどこにもない。むしろ教授が提言したのは、TPPの欺瞞や量的緩和政策の失敗、格差の是正、つまりアベノミクスの全否定だった。
提言のレジュメとみられる資料は48ページにわたり、例えばTPPについて次のように手厳しい。
〈米国にとってTPPの効果はほぼゼロと推計される〉〈TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないであろう〉〈特に投資条項が好ましくない――新しい差別をもたらし、より強い成長や環境保護等のための経済規制手段を制限する〉
ただ、これは官邸の事務局による和訳で、本来の英文と比較すると、これでも「意図的に差し障りのない表現にしている」と言うのは、シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏だ。