国立天文台が防衛省の助成制度容認へ 強い反対も方針転換
安倍政権が2015年度から導入した「安全保障技術研究推進制度」。防衛省が軍事分野の研究開発に役立つ基礎研究を民間企業や大学に委託し、カネを出して助成する制度だが、日本の天文学の中核を担う国立天文台が、これまで「同制度を利用しない」としてきた方針の転換を検討しているという。10日の東京新聞が報じた。
同天文台は16年に、“研究者版経済的徴兵制”といわれているこの制度に関して「政府の介入が大きい」などの問題点を指摘し、応募しない方針を決定。しかし、天文台執行部は今年7月の教授会議で、方針の改定案を提出した。
「悪魔に魂を売るのか」と強い反対が出たにもかかわらず、方針転換に一歩踏み出した背景には、安倍政権の基礎科学研究の予算削減がある。常田佐久台長は、予算が厳しいことを指摘したうえで防衛省の制度を「ひとつのオプションとして議論したい」としている。