「さらさら流る」柚木麻子著

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 大手コーヒーチェーンの広報部に勤める28歳の井出菫は、ある日、いかがわしいサイトに自分のヌード写真がアップされていることを偶然に知る。それは、大学生の頃、恋人の光晴に請われて撮影を許したものだった。光晴とは6年前に菫が振る形で別れた。光晴の底知れぬ不安定さについていけなくなったのだ。

 犯人は、光晴なのか――。

 一方、事情を知った菫の親友で美術教師の百合、菫の父親は光晴に接触。光晴は写真をネットにあげた覚えはないと言い張るが、次第に自信がなくなり自分で調査を始める。

 暗渠を2人で歩いたこと、光晴の複雑な家庭環境……。一人称で語られる菫と光晴それぞれの思い出と現在が入り交じり、物語は進んでいく。

 傷ついた女性と傷つけた男性に訪れる結末が秀逸な長編小説。

 (双葉社 1400円+税)

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