著者のコラム一覧
増田晶文作家

1960年、大阪生まれ。同志社大学法学部卒。「果てなき渇望」(文藝春秋ナンバー・スポーツノンフィクション新人賞)でデビュー。著書に「稀代の本屋 蔦屋重三郎」「絵師の魂 渓斎英泉」「楠木正成 河内熱風録」「ジョーの夢」「エデュケーション」など多数。

(15)女体の匂いが鼻先をくすぐる

公開日: 更新日:
切り絵・小宮山逢邦

 かげろうは重三郎にすり寄ると袖を引いた。

「立ち話もナンだし。よかったらウチへくるかい?」

 白粉だけでなく煮詰めたような女体の匂いが鼻先をくすぐる。その鼻のすぐ下にお上臈の濡れた双眸。重三郎は育ち盛りの十四歳、背丈は柱に刻んだ去年の傷を追い越している。もう、母より… 

この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。

(残り1,257文字/全文1,398文字)

【連載】蔦屋重三郎外伝~戯家 本屋のべらぼう人生~

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発